BASE/VASE

SEKKU

BASE/VASEはコンクリート製の花器です。
建築物を作るように一つ一つ手作りで型枠を組立て、コンクリートを流し込んで作られます。
型枠は一回しか使えませんし、コンクリートの性状も一定ではないので
作るたびに少しずつ表情が異なります。

墨などを混ぜて着色したコンクリートが生みだす荒々しいテクスチャーは
花木の色彩をいっそう引き立たせます。
陶器などと異なり、時間の経過によって光沢や色に荒れが生じ、
気泡や割れ、欠けなども表情になる素材です。
三角形を基本にした多面体の構成はシャープな陰影を生み出し、
置かれる場所や見る角度、光の当たり方によって異なる印象を与えます。
　
独特な形は花木と地面を結んでいたエネルギーの流れをイメージしたものです。
自然の花木に合うように花器自体も少し曲がったり傾いたりします。
花器というよりそれ自体が化石化した茎や根のようでもあります。
一度断たれた力のうねりを結晶のような形で再生しているのです。